ジャズは、白人が黒人の礼拝音楽や文化を禁止し、白人に同化するように強制したことから生まれたのであった。
彼らは表向きは同化していたとしても、エッセンスは決して手放さず、脈々と継承されていった。その行き着く先に、ジャズが誕生したと考えられている。
音楽は曲、スタイル、など、数えれば星の数ほどあって、全てを一個人が網羅するのは不可能に近い。
しかし、その源流を辿ることで、いま自分がやっている音楽をより深く理解することができる。
まえだけんドラムもそんな思いで、音楽探求の日々を送っております。
白人の音楽
芸術音楽
フォスター
「家族から引き離されて連れてこられた奴隷の境遇の黒人たちに対して、白人の間に同情が生まれて来た」フォスター
パトリック・サスフィールド・ギルモア/ 吹奏楽
現代のようにスマホで音楽が聴けたり、ましてやCDもラジオもない時代、
「音楽を聴く=生バンドの鑑賞」
しかありえなかった。
そんな19世紀の終わり頃(南北戦争の後)、ブラスバンド(吹奏楽)は大きな影響力を持った。
パトリック・サスフィールド・ギルモアはこの頃、国民平和音楽祭を開催したが、その時の内容は、
1万人の合唱団、1000人の楽器奏者、演奏効果を高めるために、2中隊の大砲、それを上回る教会の鐘、ボストン消防隊員による100台の鉄床を用いた。
この時期には吹奏楽団だけでなく、交響楽団も同じような鳴り物入りのコンサートを開催していたらしい。ちなみに同時期のヨーロッパはワーグナーがトリスタンとイゾルデなどを発表していたが、これらの音楽はアメリカとは全く正反対の考え方で作られていた。
白人のポピュラー音楽
ミンストレル
黒塗りの化粧、ひどい訛りで黒人を演じた。その時の歌曲がヒットした。
白人の世俗的民謡
野外宗教集会
17~19世紀にかけてイギリスから渡ってきたアングロサクソンの伝統に根ざしている。口承によって伝えられた民謡は、原曲を尊重しつつ演奏者の個性も盛り込んで行く、ジャズと通じる部分があった。
カウボーイの音楽
アパラチアの音楽〜リール
イングランドやスコットランド低地地方、アルスター(アイルランド)からの移民がアパラチアンにたどり着き、彼らの地域の伝統音楽をアパラチアに運んできました。
[Celtic Dance] Tabache – The Gneevguillia Reel
ジャズが他の音楽と決定的に違うのは、音楽エリートから生まれたものでもなく、大衆から生まれたものでもなく、ひどく抑圧されたごく少数の黒人奴隷から生まれたという点である。
黒人の音楽
黒人の芸術音楽
ルイス・モロー・ゴットシャルクLouis Moreau Gottschalk
黒人のポピュラー音楽
ジェイムス・ブランド 懐かしきヴァージニア 典型的なAABA形式
黒人の民族音楽 ブルースの起源
blues は、 blue devils (精神的な落胆)の短縮形という説がある。
ワークソング
一般に農耕や漁労などの作業に伴ってうたわれる歌をさすが、とくに、18~19世紀のアメリカ合衆国南部のプランテーション(大土地所有に基づく大規模農園)や小作農地における、アフリカ系アメリカ人による作業歌をさすことが多い。いずれの場合も、ワークソングを歌うことによって、働き手は作業の単調さをまぎらわせたり、作業のリズムを整えたり、効率を高めたりするものと考えられる。
スピリチュアル〜黒人霊歌と福音賛美歌(ゴスペル)
黒人霊歌
アフリカ音楽
トーキングドラム
黒人奴隷に対する、アングロサクソンとラテン人の違い
ラテン系の支配者層(スペイン、ポルトガル人)は、黒人の心までは束縛しなかった。なので、ラテンアメリカには黒人のもともと持っていた音楽があちこちに残り、そして発程していった。
しかしアングロサクソン(イギリス人)は、黒人奴隷を人間以下の存在としかみていなかった。なので、例えばトリニダード島(カリプソ発祥地)では、19世紀にイギリスの支配に変わってから、ドラムの使用を禁止された。そこで黒人たちは竹のぼうで地面を叩いていたが、それも禁止。そこでドラム缶などを使うようになった。ドラム缶の補修中に、たたく場所で音程が変わることを発見し、スティールパンの発明に繋がった。
スティールパン中心に、ドラムセット、コンガなどの楽器と、車のホイールなど金属類を組みあわせたバンドを「エンジンルーム」という。
はなからアングロサクソンの支配下にあった北アメリカでは、同じような理由で「タップダンス」が発展した。
彼らは、アフリカの音楽を維持したいという欲求、そして、白人文化との合体を避けたいという強い思いで文化を継承し続けた。
白人の監視を避けるために、歌詞やタイトルにも裏の意味を持たせることが彼らの暗黙となっていった。
2ジャズ出現前のジャズ に続く
参考文献 この本の流れに従ってます。
ジャズの歴史
―その誕生からフリー・ジャズまで
フランク=ティロー【著】Tirro,Frank
中嶋 恒雄【訳】